こんにちは!
診療の現場では当たり前のように耳にする「インフォームドコンセント」。
でも改めて、なぜこれが大切なのか、きちんと考えたことはありますか?
今回は、インフォームドコンセントの背景とその重要性について、少し立ち止まって考えてみましょう。
インフォームドコンセントとは、
「患者に対して、病気や治療内容を十分に説明し、同意を得た上で診療行為を行う」
という考え方です。
これは単なる「説明義務」ではありません。
飼い主(患者に代わる意思決定者)が、納得して選択できる状態を作ることが目的です。
かつて医療は「医師が最善と思う治療を決める」スタイルが一般的でした。
しかし、医療技術の進歩とともに治療の選択肢が増え、
患者(飼い主)自身が「どう生きるか」「どう治療を受けるか」を選ぶ時代に変わってきたのです。
また、医療事故や訴訟リスクが社会問題化する中で、
「説明していなかった」「同意を得ていなかった」ということ自体がトラブルの火種になりやすいことも背景にあります。
動物医療では、患者本人(犬や猫)が意思表示できないため、
飼い主との信頼関係がより一層大切になります。
診断内容
治療の選択肢とリスク
治療しない場合の見通し
費用や通院スケジュール
これらを誠実に、わかりやすく伝える努力が、
飼い主の不安を和らげ、トラブルを未然に防ぎ、
なによりも**「この先生に任せたい」という信頼感**につながります。
インフォームドコンセントは、ただ義務的に説明するためのものではありません。
患者=動物、そして飼い主の人生に寄り添うための、大切なコミュニケーションのプロセスです。
忙しい診療の中でも、一人ひとりの飼い主に丁寧に向き合う時間を、ぜひ大切にしていきましょう。
それが、病院の信頼と未来を支える力になります。